年齢とともに変わる眠り。「最近、よく眠れてる?」から始める気づかい
年齢とともに変わる眠り。「最近、よく眠れてる?」から始める気づかい
高齢者の睡眠の特徴と、
大切な人のためにできること
【この記事の要約】
- ・年齢を重ねると、眠りが浅くなり、夜中や朝早くに目が覚めやすくなることがあります。
- ・長く寝床にいれば、よく休めるとは限りません。睡眠時間だけでなく、朝に休めたと感じられるかも大切です。
- ・日中の活動、昼寝、寝酒、寝室の光・音・温度なども、夜の眠りに関係します。
- ・大切な人の眠りが気になったら、まずは「最近、よく眠れてる?」と聞くことから始めます。
- ・強い日中の眠気や大きないびき、睡眠中に呼吸が止まる様子などがある場合は、年齢だけのせいにせず、医療機関への相談も考えましょう。

離れて暮らす親御さんや祖父母。学生時代にお世話になった恩師や、いつも気にかけてくださる、あの方。
たとえば、久しぶりの電話で「最近、朝が早くてね」と笑われる。声は明るい。それでも、なぜか少し引っかかる。
「あれ? ちゃんと休めているのかな」
そんなふうに、ふと立ち止まったことはありませんか。
年齢を重ねると、夜中に目が覚めたり、朝早く起きたりと、眠り方にも少しずつ変化が出てきます。
けれど、夜中に目が覚めることが、すべて悪いわけではありません。大切なのは、眠った時間だけではなく、朝に休めたと感じられるか、日中をその人らしく過ごせているかということです。
「もう年だから、仕方ないよ」と聞くと、私は少し立ち止まります。そうかもしれない。でも、それだけだろうか、と。
寝室の環境や日中の過ごし方を少し見直すことで、眠りやすくなることがあります。一方で、睡眠の病気や別の体調変化が隠れていることもあります。
今回は、年齢とともに変わる眠りと、大切な人のために私たちができることを、スリーププランナー・ローホが一緒に考えていきます。
1.年齢とともに、眠り方はどう変わる?

「若い頃は朝までぐっすり眠れたのに、最近は夜中に何度も目が覚める」
年齢を重ねた方から、そんな話を聞くことがあります。珍しいことではありません。加齢とともに、夜間に眠れる時間は少しずつ短くなり、早寝・早起きの傾向も強くなっていきます。
- ・夜中に目が覚める回数が増える
- ・朝早く目覚める
- ・寝床に入ってから眠るまで時間がかかる
- ・深く眠った感じが少なくなる
- ・昼間にうとうとすることが増える
ただし、眠り方には大きな個人差があります。同じ年齢だからといって、必要な睡眠時間も、夜中に目覚める回数も同じではありません。
ここは少し安心していただきたいところです。夜中に一度目が覚めても、その後また眠れて、朝はある程度すっきりしている。日中も強い眠気に困らず過ごせている。そうであれば、目覚めた回数だけを心配しすぎなくてもよい場合があります。
反対に、長く寝ているように見えても、「朝、まったく休めた感じがしない」「日中も眠くてつらい」というときは、少し気にかけてみたいところです。
2.「長く眠れば安心」とは限らない

眠れなかった夜が続くと、「もっと早く布団に入れば、その分休めるのでは」と思いますよね。
ところが、ここが少し意外です。必要以上に長く寝床で過ごすと、眠れないまま横になっている時間が増え、「また眠れなかった」という感覚がかえって強くなることがあります。
ここで分けて考えたいのが、「睡眠時間」と「床上時間」です。
- ・睡眠時間:実際に眠っていた時間
- ・床上時間:寝床に入ってから、寝床を出るまでの時間
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、高齢者について、床上時間が8時間以上にならないことを目安に、必要な睡眠時間を確保するよう示しています。
ただし、これは「8時間眠ってはいけない」という意味ではありません。必要な睡眠時間には個人差があります。眠れない分を埋めようとして、必要以上に長く寝床にとどまり続けないための目安、と考えるとよいでしょう。
時間と一緒に見てほしいのが、「朝、休めたと感じられるか」です。これは睡眠休養感と呼ばれ、睡眠の質を見る大切な目安のひとつです。
- ・朝、少しでも休めたと感じられるか
- ・日中、強い眠気で困っていないか
- ・無理なく普段の生活を送れているか
- ・眠ることへの焦りや不安が強くなっていないか
「何時間眠ったか」だけではなく、「眠ったあとの自分はどう感じているか」。数字からいったん目を離すと、見えてくることがあります。
3.こんな言葉、聞いていませんか?

眠りの悩みは、改まって相談されるとは限りません。何気ない会話の中に、ぽつりと表れることがあります。
- ・「夜中に何度も目が覚める」
- ・「朝、早く起きてしまう」
- ・「朝、休めた感じがしない」
- ・「昼間、ついうとうとしてしまう」
- ・「夜は暑いのに、朝方は冷える」
- ・「お酒を飲まないと眠れない」
こうして並べてみると、「あ、あの人も言っていたな」と、ふと顔が浮かぶかもしれません。
ひとつでも思い当たる言葉があれば、それは、眠りについて話してみるきっかけかもしれません。
たとえば「夜中に目が覚める」という言葉の背景には、眠りの浅さだけでなく、トイレ、痛み、物音、暑さや寒さなどが関わっていることがあります。目覚めた回数だけでなく、その後また眠れるか、翌日の生活に影響していないかも聞いてみたいところです。
「お酒を飲まないと眠れない」という言葉には、少し注意が必要です。お酒は一時的に寝つきをよくするように感じられても、眠りの後半を浅くし、夜中に目覚めやすくすることがあります。
晩酌を楽しむことと、眠るためにお酒を飲むことは、少し別の話です。習慣になっているようなら、責めるのではなく、「最近、量は増えていない?」と静かに聞いてみてください。
4.日中の過ごし方と、眠る環境を見直す

夜の眠りを整えようとすると、寝る直前のことばかり考えがちです。でも、眠りは朝から始まっています。
何から手をつければいいのか、少し迷いますよね。全部を一度に変えなくて大丈夫です。できそうなことを、ひとつだけでも。
- ・朝や日中に、無理のない範囲で光を浴びる
- ・散歩や家事などで、日中に体を動かす
- ・昼寝は午後の早い時間に、短めにする
- ・夕方以降のカフェインや、寝酒を見直す
- ・寝室の光・音・温度を、その人に合わせる
散歩といっても、特別な運動でなくてかまいません。買い物に出る、庭の手入れをする、家の中を片づける。それも立派な日中の活動です。体力や持病に合わせて、無理なく続けられることを選びます。
寝室では、テレビや照明をつけたままにしていないか、冷暖房の風が直接当たっていないか、朝まで心地よい温度で過ごせているかを見てみましょう。
そして、毎晩肌に触れる寝具やパジャマも、眠る環境の一部です。
パジャマだけで眠りの悩みがすべて解決するわけではありません。けれど、汗で肌に張りつく、首やお腹まわりが窮屈、寝返りのたびに引っかかる。そんな小さな不快感があるなら、見直す余地はあります。
汗や湿気を逃がしやすいか。締めつけが強くないか。季節に合った素材か。
「そういえば、ずっと同じものを着ているな」。そんな気づきからで十分です。
5.大切な人にできることは、まず聞いてみること

ここまで、年齢とともに変わる眠りについてお話ししてきました。では、大切な方の眠りが気になったとき、私たちには何ができるのでしょうか。
相手は、ご家族だけとは限りません。離れて暮らす親御さんや祖父母。お世話になった恩師。いつも自分を気にかけてくれる年上の方。
正直、ここがいちばん難しいところかもしれません。何かしてあげたい。でも、こちらの考えを押しつけるのは違う気がする。
いきなり「もっと運動したほうがいいよ」「早く寝なきゃ」と言うと、相手を困らせてしまうかもしれません。そう思うと、声をかけるのも少しためらいます。
だから、まずは聞いてみること。
「最近、よく眠れてる?」
それくらいの短い言葉で、十分だと思います。
- ・「こういう眠り方がいい」と決めつけない
- ・すぐに解決しようとしない
- ・「そうなんだ」と、まず耳を傾ける
- ・本人が困っていたら、一緒にできることを探す
すぐに答えが返ってこなくても、かまいません。そのひと言が、あとから自分の眠りを見直すきっかけになることもあります。
そして、話を聞いた先に、寝具やパジャマを一緒に見直すという選択肢もあります。
敬老の日にパジャマを贈るのは、少し踏み込みすぎかな。かえって気を遣わせないかな。そう迷う方もいると思います。
パジャマを贈れば、よく眠れると約束できるわけではありません。それでも、毎晩使うものだからこそ、「いつもありがとう」「ゆっくり休んでね」という、言葉だけでは少し照れくさい気持ちを託すことができます。
贈って終わりではなく、その後に「着心地はどう?」「夜は暑くなかった?」と、また話してみる。その会話まで含めて、気づかいの贈り物なのだと思います。
6.「年齢のせい」で終わらせないほうがよいサイン

ここから少しだけ、話の調子を変えます。心配をあおりたいわけではありません。でも、大切なことなので触れておきます。
年齢とともに眠り方が変わることはあります。ただ、次のような状態が続くときは、すべてを「年齢のせい」で片づけず、かかりつけ医や睡眠を専門とする医療機関への相談を考えてください。
- ・日中の強い眠気が続き、生活に支障が出ている
- ・大きないびきが続き、睡眠中に呼吸が止まっているように見える
- ・息苦しそうに目を覚ますことがある
- ・夜間に何度も目が覚め、本人がつらいと感じている
- ・脚のむずむずする不快感などで、眠れない状態が続いている
- ・生活習慣や睡眠環境を見直しても、状態が変わらない
受診を勧めるときも、「病気かもしれないよ」と不安を強めるより、「一度、眠りのことを相談してみない?」と伝えるほうが、受け止めてもらいやすいことがあります。
服用中の薬が、眠気や不眠に関係する場合もあります。薬を自己判断で中止したり、量を変えたりせず、医師や薬剤師に相談してください。
7.まとめ:気づかうことは、眠りについて話すことから

年齢とともに、眠り方は少しずつ変わっていきます。夜中に目が覚めたり、朝が早くなったりすること自体は、自然な変化である場合もあります。
大切なのは、睡眠時間の長さだけでなく、朝に休めたと感じられるか、日中をその人らしく過ごせているかということ。そして、気になる変化が続くなら、「年齢だから」と終わらせないことです。
離れて暮らしていると、夜の様子までは見えません。たまにしか会えない相手なら、なおさらです。
だからこそ、まずは聞いてみること。
「最近、よく眠れてる?」
もし「うーん、どうかな」と少し考える間があったら、急いで答えを出さなくて大丈夫です。その続きを、ゆっくり聞いてみてください。
気づかう時間は、そんな小さな会話から始まるのだと思います。
ここまで書いてきて、改めて思うのは、眠りそのものを贈ることはできない、ということです。それでも、心地よく休む時間に寄り添うものと、「ゆっくり休んでね」という気持ちは届けられます。
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Q. 年齢を重ねると、なぜ夜中に目が覚めやすくなるのですか?
加齢とともに夜間に眠れる時間は少しずつ短くなり、眠りも浅くなりやすいため、物音や尿意、暑さ・寒さなどで目が覚めやすくなる傾向があります。目覚めた回数だけでなく、その後また眠れるか、日中の生活に影響していないかも一緒に見てみましょう。
Q. 睡眠時間が短くても、心配しなくてよいのでしょうか?
必要な睡眠時間には個人差があります。時間の長さだけで一喜一憂せず、朝に休めたと感じられるか、日中に強い眠気がないかも確かめてください。本人がつらいと感じている場合や、日常生活に影響が出ている場合は、医療機関への相談を考えましょう。
Q. 昼寝はしないほうがよいのでしょうか?
昼寝自体が悪いわけではありません。ただし、長すぎる昼寝や夕方以降の昼寝は、夜の眠りを妨げることがあります。昼寝をするなら、午後の早い時間に短めに。夜の寝つきが悪くなるようなら、少し時間を短くしてみてください。
Q. 寝酒はやめたほうがよいですか?
お酒は寝つきをよくするように感じられますが、眠りの後半を浅くし、夜中に目が覚めやすくすることがあります。「飲まないと眠れない」という状態が続いている場合は、量を増やす前に、医師などへ相談してください。
Q. 大切な人の眠りが心配なとき、どう声をかければよいですか?
「ちゃんと眠らなきゃ」と正すよりも、「最近、よく眠れてる?」と、日常の会話の中でそっと聞いてみてください。すぐに助言をせず、まずは「そうなんだ」と話を聞くことが、本人の安心につながります。
Q. どのような様子があれば、医療機関に相談したほうがよいですか?
日中の強い眠気が続く、大きないびきや呼吸が止まるような様子がある、夜間に何度も目が覚めて日常生活に影響している、といった場合は、年齢だけのせいと考えず、医師に相談することをおすすめします。
スリーププランナー:ローホ (認定登録番号:653030)
資格を活かして、皆さんと一緒に睡眠環境を整えることを目指すパートナー。
現在、更年期真っ只中。気持ちと身体の揺らぎを日々感じています。
だからこそ、睡眠の大切さや面白さをより深くお伝えしていきたい。
そんな想いで、睡眠を楽しんでもらえる商品をチームで開発し、少しでも皆さんに寄り添っていきたいと考えています。
※本コラムは、公的機関の情報およびスリーププランナーの知識に基づく一般的な情報提供を目的としたもので、医療行為・診断ではありません。睡眠の悩みや気になる症状が続く場合は、医療機関へご相談ください。
~日本を睡眠大国へ~
自然を選び、自分をてらす。
睡眠を選び、地球をてらす。
身体も心も軽やかに、一瞬一瞬をキラキラと輝く、明日をもっと楽しもうと思える。
眠ることは、自分らしく生きること。
睡眠が変わると、明日が変わる。
明日をてらす 睡眠てらす

