暖かくしたはずが逆効果?~冬の夜の「謎の痒み」を解決する、乾燥肌のためのよく眠れるパジャマ~
よく眠れるパジャマとは
肌にあった「眠り」を
寒い夜、ふとんに入って「ああ、しあわせ…」と思った数分後。 腕や脚、背中がムズムズしてきて、かゆくて眠れない——。
そんな夜を、毎冬の“お決まり”のように感じていませんか。
「きっと乾燥しているからだろう」 「体があたたまると、かゆくなる体質なんだよね」
そうやって自分に言い聞かせて、少しあきらめ気味に過ごしている方も多いかもしれません。
もちろん、乾燥や体温の変化は大きな要因ですが、実はもうひとつ、パジャマの中で起きている「湿度と温度の変化」が冬のかゆみに関わっていることが多いかもしれません。
睡眠の質を大切にする人のための「冬のかゆみとパジャマ」。 乾燥肌さんが深い睡眠をサポートするパジャマを選ぶためのコツをお伝えします。
- ・なぜ布団に入ると急にかゆくなるのか
- ・かゆみを悪化させやすい「NGパジャマ」
- ・今夜からできる、睡眠環境を整えるためのシンプルな工夫
冬の夜のかゆみから少しでも自由になって、「このパジャマだと、なんだかよく眠れる」と感じる日が増えていきますように。
1.冬の夜にかゆくなるのはなぜ? 考えられる3つのポイント
冬のかゆみは、原因がひとつとは限りません。 いくつかの要素が重なったときに、はじめて“ガマンできないかゆみ”として表に出てくることが多いようです。
ここでは、冬の夜に代表的と言われる3つのポイントを整理してみます
- 1.体が温まることで起こる感覚の変化
- 2.乾燥した肌とパジャマの摩擦・静電気
- 3.パジャマの中の「蒸れ」と「汗」による刺激
① 体温が上がると、かゆみを感じやすくなる
冷えた体で布団に入り、じんわり温まってくるあの感じ。 とても心地よい変化ですが、その裏側では血管が広がる(血管拡張)という反応が起きています。
体が温まり血行が良くなると、かゆみを伝える神経が興奮しやすくなったり、ヒスタミンという物質が働いたりして、ムズムズとしたかゆみを感じやすくなることがあります。
- ・お風呂上がり
- ・布団に入った直後
- ・軽い運動で体が温まったあと
こうしたタイミングでかゆくなるのは、体が「温まること」自体に反応している可能性があります。 さらに夜は、副交感神経が優位になり、皮膚の感覚が敏感になる時間帯でもあります。「昼間は平気だったのに、夜だけかゆい」という現象には、こうした体のリズムも関係しています
このタイミングで強いかゆみが出てしまうと、 どうしても快眠から遠ざかり、睡眠の質を高めるどころかスタートでつまずいてしまうことにもつながります。
② 乾燥+摩擦+静電気で、肌のバリアが低下する
冬の肌は、とても乾きやすい状態です。 外気の乾燥にくわえ、暖房の風や熱めのお湯などで皮脂や水分が奪われ、肌を守る「バリア機能」が低下しがちです。
そこに、パジャマの生地が一晩中こすれ続けるとどうなるでしょうか。
- ・見た目はやわらかそうな生地でも、乾いた肌には刺激になりやすい
- ・縫い目やタグ、ゴム部分など、わずかな凹凸がチクチク感じる
- ・化学繊維による静電気が、肌への小さな刺激(ストレス)になる
こうした刺激が積み重なると、寝返りのたびにかゆみで目が覚めてしまい、睡眠の質が上がるどころか、どんどん浅くなってしまうことも少なくありません。
「よく眠れるパジャマ」を探すなら、あたたかさだけでなく、肌との相性や摩擦の少なさにも目を向けてあげたいところです。
③ 見落とされがちな「蒸れ」と「汗冷え」の刺激
そして、意外と見落とされがちなのが、パジャマの中で起きている“蒸れ”と“汗”です。
「冬はとにかくあたたかく」と考えて、吸湿性の低いフリースやモコモコの厚手のパジャマを選んでいませんか? こうした生地の多くはポリエステルやアクリルなどの化学繊維でできています。
人は冬でも、寝ている間にコップ1杯分の汗をかくと言われます。
もし、汗を吸わないパジャマを着ていると……
- 1.布団の中で体が温まり、寝汗をかく
- 2.汗がパジャマに吸われず、肌の上に残る
- 3.【刺激A】 汗に含まれる成分が、乾燥して弱った肌を刺激する
- 4.【刺激B】 汗が乾く時に気化熱で体温を奪い、急激な温度変化(汗冷え)を起こす
この「汗の成分による刺激」や「急激な温度変化」が、敏感な肌にとっては大きな負担となり、かゆみのスイッチを入れてしまうことがあるのです。
よく眠れるパジャマとは、「ただ厚手であたたかい服」だけでなく、「湿度と温度をうまくコントロールしてくれる服(汗をうまく受けとめて、冷えすぎを防いでくれる服)」だと考えるのが正解です。
2.良かれと思って逆効果? 避けたい「NGパジャマ」
「暖かい=いいパジャマ」というイメージは根強いですが、乾燥肌やかゆみが出やすい方にとっては、逆効果になる場合もあります。 睡眠の質を高めるために、少し注意したいポイントを見てみましょう。
吸湿性の低い化学繊維メインのパジャマ
ポリエステルやアクリルなどの化学繊維は、速乾性があり暖かい反面、吸湿性が低い(汗を吸いにくい)ものが多いです。
- ・蒸れやすい: 汗が肌に残ると、あせもや痒みの原因になりやすい。
- ・静電気: 乾燥した冬場は静電気が起きやすく、それが肌への刺激になる。
「着た瞬間は暖かいのに、布団に入ると暑くて蒸れて、最後は冷えてかゆくなる」という方は、素材が合っていない可能性があります。
よく眠れるパジャマ=“汗も気持ちも落ち着くパジャマ”と考えると、化学繊維だけに頼りすぎない工夫が大切になってきます。
肌にぴったり密着する裏起毛
裏起毛も暖かいですが、肌が乾燥している人にとっては、繊維の毛羽立ちが物理的な刺激(摩擦)になることがあります。 特に素肌に直接着ると、油分を奪いすぎたり、密着しすぎて蒸れを助長したりすることがあるため、肌状態によっては注意が必要です。
3.「よく眠れるパジャマ」の条件とは? 乾燥肌を守る素材選び
では、どんなパジャマなら深い睡眠をサポートしてくれるのでしょうか。 条件はシンプルに3つです。
- 1.吸湿性: 汗をしっかり吸い取る
- 2.放湿性: 余分な湿気を逃がす
- 3.肌触り: 摩擦や静電気、ストレスが少ない
- ・3重ガーゼ: 空気をふっくら含んで暖かい。
- ・キルトニット: 中綿が入っており、保温性が高い。
- ・素肌には、綿100%の薄手インナーを着る。
- ・その上から、暖かいパジャマを重ねる。
3-1.蒸れにくい素材を選ぶ
① 綿(コットン)100%の多重ガーゼ・キルトニット
いちばん身近で頼りになるのが、綿(コットン)です。 吸湿性が高く、汗を吸ってくれるため、肌を清潔で快適な湿度に保ちやすくなります。
冬に選ぶなら、ペラペラの綿ではなく、空気の層を含むものを。
「睡眠の質を大切にしたい」「パジャマから見直したい」と思ったとき、まず候補に入れていただきたいのが、この綿100%の多重ガーゼやキルトニット。乾燥肌さんにとってのよく眠れるパジャマの“土台”になってくれます。
② シルク(絹)
少し贅沢な選択になりますが、敏感肌の方や「どうしてもかゆみを減らしたい」という方には、シルクもおすすめです。 人の肌に近い成分(タンパク質)でできており、摩擦が非常に少ないのが特徴。
保温しながら湿気だけを逃がしてくれるため、汗冷えや蒸れを防ぐ能力に長けています。
③ 「モコモコも着たい」人のためのインナー裏ワザ
お気に入りのフリースなどを着たい場合は、「肌に直接触れるもの」を変えましょう。
インナーが「汗受け」となり、肌を守ってくれます。これなら、手持ちのパジャマを活かしながら睡眠環境を整えられます。
4.寝る前の「ひと手間」で、かゆみをブロックする習慣
パジャマ選びにくわえて、寝る前のちょっとした行動も、かゆみ対策には心強い味方になります。
保湿は「パジャマを着る前」がゴールデンタイム
お風呂から上がったら、パジャマを着る前に全身を保湿しましょう。 肌が少し湿っているうちに保湿剤を塗り、その上からパジャマを着ることで、生地との摩擦を減らす「保護膜」を作ることができます。
「塗ってから着る」を意識するだけでも、結果的に睡眠の質を高めるケアにつながっていきます。
洗剤・柔軟剤を見直してみる
パジャマに残った洗剤成分や、香りの強い柔軟剤が、温まった体と反応して痒みの原因になることもあります。 「すすぎを1回増やす」「低刺激の洗剤に変える」といった工夫で、肌への負担が軽くなるケースも少なくありません。
まとめ:パジャマを見直すことは、「よく眠れる夜」への一歩
冬の夜のかゆみは、乾燥だけでなく、「温まりによる血管拡張」や「パジャマの中の蒸れ・汗」など、複数の要因が絡み合っています。
だからこそ、
- ・汗を吸ってくれる天然素材(綿やシルク)を選ぶ
- ・化学繊維を着るなら、綿のインナーを挟む
- ・入浴直後の保湿で、肌のバリアを補う
こうした小さな工夫が、かゆみのストレスを減らし、睡眠の質が高まるきっかけになります。
もし、腫れを伴う強いじんましんが出る場合や、かゆみで日常生活に支障がある場合は、アレルギーなどが背景にある可能性もありますので、無理せず皮膚科医にご相談ください。
日々の暮らしの中でできる範囲から、パジャマや環境を整えてみませんか? あなたの夜の時間が、「かゆみと戦う時間」から「心から安らげる時間」へと戻っていきますように。
~日本を睡眠大国へ~
自然を選び、自分をてらす。
睡眠を選び、地球をてらす。
身体も心も軽やかに、一瞬一瞬をキラキラと輝く、明日をもっと楽しもうと思える。
眠ることは、自分らしく生きること。
睡眠が変わると、明日が変わる。
明日をてらす 睡眠てらす





