睡眠コラム

鉄不足が快眠を妨げる? レム睡眠とドパミンの意外な関係性

鉄不足が快眠を妨げる? レム睡眠とドパミンの意外な関係性

快眠を阻害する鉄不足:不眠の背後にあるレム睡眠とドパミンの真実と対策

「夜中に何度も目が覚める、眠ってもどうにもスッキリしない。

眠ってもすっきりしない。。そんな日が続くと、「ああ、寝具が合わないのかな」「ストレスが溜まってるな」と、つい原因を外側に求めがちですよね。


でも、実はもっと静かに、私たちの体の中の「材料」が足りていないかもしれないんです。

そう、「鉄」のことです。

鉄というと、多くの方が「貧血を防ぐ栄養素」と連想されるでしょう。

もちろんそれも重要な役割ですが、鉄の仕事はそれだけに留まりません。

実は、脳内でドパミンといった大切な神経伝達物質をつくるときにも、ひそかに、でも重要な役割を担っています。

このドパミン、ご存知の通り「やる気」のホルモンですが、実は私たちの体内時計や、深い眠りと浅い眠りの「切り替え」にも深く関わっているんですね。

鉄が足りないと、なぜ眠りが乱れるの?

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鉄が足りないと、眠りが乱れる

鉄は、このドパミンづくりを助ける「補因子」のような存在です。

鉄が不足すると、この大切なドパミンの流れが少し鈍くなってしまいます。

その結果、寝つきに時間がかかったり、「夜中に何度も目が覚めやすい」といった形で、私たちの眠りに影響が出ることがあるんです。 もちろん、眠りの乱れの原因は一つに絞れるものではありません。

しかし、「最近すごく疲れやすい」「集中力が続かない」「無性に氷が食べたくなる」など、もし鉄不足のサインがいくつか重なっているなら、「眠りとのつながり」も可能性の一つとして頭の片隅に置いておくと、少し安心かもしれません。



レム睡眠とドパミン — “主役と助演”の絶妙な関係

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レム睡眠とドパミン”主演と助演”の関係

夢を見る時間としておなじみのレム睡眠は、脳は活発なのに、体はお休みという不思議な時間帯です。

このレム睡眠を動かす「主役」はアセチルコリンという物質とされていますが、ドパミンも「助演俳優」のように、節目節目で登場します。

レム睡眠の始まり方やその「強さ」を調整する役割を担っていることが、これまでの研究で示されています。

だからといって、「レム睡眠はドパミンだけで決まる!」と断言するのは性急です。

そうではなく、鉄不足でドパミンの働きがわずかに落ちるだけでも、眠りのリズムを調整する機能が微妙に狂いやすくなる可能性はある、というスタンスが、科学的にも無理のない捉え方でしょう。

からといって、「レム睡眠はドパミンだけで決まる!」と断言するのは行きすぎです。

そうではなくて、鉄不足でドパミンの働きが少し落ち気味になると、眠りのリズムが微妙に狂いやすくなる可能性はある、というスタンスが、一番無理のない捉え方ではないでしょうか。



夜に脚がむずむず…それ、鉄と関係あるかも

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夜に脚がむずむず…鉄と関係あるかも

「夜になると脚がむずむずして落ち着かない」「じっとしていられない」——これ、むずむず脚症候群(RLS)の典型的なサインです。

むずむず脚症候群については、脳内の鉄不足とドパミン系の乱れが関わっている、という考え方にかなりしっかりとした根拠があります。

医療の現場でも、鉄を補うことで症状が和らいだという報告は多く、眠りの浅さの原因として見逃せない領域です。

もし、「夜だけ脚がそわそわする」「動かすとラクになる」「横になると悪化する」といった心当たりがあれば、これは早めに専門家にご相談いただくことをおすすめします



貯蔵鉄(フェリチン)の「数値」は、文脈で読み解く

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貯金鉄(フェリチン)をたっぷり保つ

血液の鉄は、体の「貯金箱」のような貯蔵鉄(フェリチン)と、今まさに流通している血清鉄に大きく分けられます。

健康診断の一般的な基準では「問題なし」とされても、実は貯金箱の中身(フェリチン)が心もとない、ということは珍しくありません。

ここで、少しだけ専門的な話になりますが、 むずむず脚症候群(RLS)の治療においては、一般的な鉄不足の基準よりも、さらにしっかりと鉄分を蓄えておくことが重要だと考えられています。

この病気の症状を改善するためには、貯金箱(フェリチン)の中身を、ある程度「たっぷり」に保つことが有効な場合があるためです。

そのため、貯蔵鉄が不足気味であれば、経口での鉄剤補給が検討され、一般的な基準よりも高めの目標値を目指すことが目安として行われます。

これは、RLSの症状を和らげるには、体内の鉄を単に「不足ではない状態」にするだけでなく、「症状改善に役立つレベル」まで底上げする必要があるためです。



食事とサプリ、現実的な鉄ケア

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毎日の食事で鉄を意識して摂ろう

毎日の食事で、鉄を効率よく摂るコツを押さえると、同じ食事でも効き目が変わってきます。

• ヘム鉄(吸収が良い):赤身肉、レバー、あさりなど。

• 非ヘム鉄(吸収を工夫):豆、野菜、穀類など。これらはビタミンC(ピーマン、ブロッコリー、柑橘類など)と一緒にとると、吸収がグッと上がります。

• 邪魔するものは避けて:濃いお茶やコーヒーに含まれるタンニン、未精製穀類などのフィチン酸は、鉄の吸収を邪魔しやすいので、食後 30分以上あけるのが無難です。

サプリについては、基本は医師の指導のもとで。食事全体で**「吸収しやすい組み合わせ」**を意識する価値は、日々の体調を整える上で十分にあります。


今夜からできる、やさしい鉄分ケアの3ステップ

1. 鉄リッチを一皿足す
例:牛の赤身・レバー・あさりなどを。非ヘム鉄がメインの日は、吸収を助けるビタミンCの野菜や、タンパク質も忘れずに。

2. お茶・コーヒーのタイミングをずらす
食中や食後すぐは避けて、$30$ 分以降に。日々の小さな工夫が、やがて大きな違いを生みます。

3. “鉄パネル”を一度チェック
フェリチン、血清鉄、TIBC(またはUIBC)、TSATを、朝の空腹時に。もしRLSが疑わしいなら、この数値が補鉄を検討する大切な手がかりになります。



鉄分と睡眠のまとめ

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鉄分と睡眠のまとめ

鉄は、単に貧血を防ぐ栄養素というだけでなく、ドパミンの材料となり、私たちの眠りのリズムに静かに、でも深く関わっている存在です。

特にRLS(むずむず脚症候群)では、鉄とドパミンの関係が重要で、フェリチンやTSATを含む鉄パネルでの確認が、眠りの質を改善する近道になり得ます。

レム睡眠については、アセチルコリンが主役、ドパミンは助演という絶妙なバランス。断定は避けるべきですが、体の土台である鉄を整えることが、結果的に乱れにくい心地よい眠りにつながる、という捉え方が最も現実的でしょう。

きょうの夕食から、そして次の検査のときから。できることを一つずつ積み重ねていきましょう。体調は季節の天気のように揺れ動きますが、体に必要な材料を満たすだけで、あなたの眠りの表情はきっと少しずつ変わっていくはずです。



~日本を睡眠大国へ~

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