睡眠コラム

夢を見るのはなぜか?──レム睡眠と脳の謎に迫る

夢を見るのはなぜか?──レム睡眠と脳の謎に迫る

夢を見るのはなぜか?──レム睡眠と脳の謎に迫る


なぜ夢を見るのか?
レム睡眠やノンレム睡眠、悪夢や明晰夢など、夢と脳の関係を睡眠の専門家が科学的に解説します。
夢を記憶に残す方法も紹介。


1. 夢を見る脳のしくみとは?──レム睡眠がもたらす夢の世界

 

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私たちが眠っている間、脳は静かに休んでいると思われがちですが、実際には非常に活発に働いています。
特に「レム睡眠(REM睡眠)」と呼ばれる睡眠段階では、眼球が素早く動き(Rapid Eye Movement)、呼吸や心拍が変動し、脳波も覚醒時に近い活動を示します。

このレム睡眠中に、私たちは最も鮮明な夢を見ています。
感情をつかさどる扁桃体や、視覚を処理する後頭葉、記憶に関与する海馬などが活性化し、夢の内容を彩るのです。
とくに、急速眼球運動が活発なほど、夢が映像的かつ情動的であることが知られています。

このように、夢は脳の一部が覚醒に近い状態で活動し、外界の刺激よりも記憶や内面の情報をもとに物語を構築している“脳内劇場”といえるでしょう。


2. なぜ夢は不思議なのか?──前頭葉の抑制と記憶の断片化

 

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夢の世界はしばしば奇妙で、現実にはあり得ない展開が起きます。
これは、レム睡眠中に脳の(論理的思考・判断・自制を担う領域)が抑制されているためです。

一方、記憶の断片(とくに過去の出来事や感情的体験)は、視覚や感情に関わる部位によって再構成されます。
その結果、タイムラインの破綻や、登場人物の入れ替わりなど、非現実的な夢の特徴が生まれるのです。

夢とは、理性の監督を外された記憶と感情が自由に結びつく、脳内での“自由連想劇場夢の素材となる自由な記憶連結”ともいえる現象です。


3. 悪夢を見るのはなぜか?──扁桃体とストレスの関係

 

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夢のなかには、恐怖や不快感を伴う「悪夢」も存在します。
その原因のひとつが、感情処理に関わる扁桃体の過活動です。特にストレスや高熱など、交感神経が刺激されやすい状態では、扁桃体が敏感になり、情動の強い悪夢が発生しやすくなります。

実際に、睡眠研究ではレム睡眠中に扁桃体の活動が特異的に高まることが確認されています。
悪夢の内容は鮮明であるため、覚醒時に記憶に残りやすい傾向があります。

睡眠の質を高める工夫(就寝前のスマホ制限、照明の工夫、就寝リズムの安定化)は、悪夢の頻度を減らす助けとなるでしょう。


4. 「夢を見ていない」は錯覚?──夢を記憶できない脳の仕組み

 

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「夢を見た記憶がまったくない」という声を耳にすることがあります。
しかし、実際には私たちは1晩で平均3〜5回の夢を見ているとされており、レム睡眠やノンレム睡眠のたびに何らかの夢を体験しています。

夢を思い出せないのは自然な現象であり、自分の記憶力とは無関係です。

ただし、レム睡眠の終盤に目覚めた場合や、夢の内容が非常に情動的だった場合は、記憶に残りやすくなります。
つまり、「夢を見ていない」のではなく、「夢を覚えていない」だけなのです。


5. ノンレム睡眠にも夢は存在する──思考的な夢と明晰夢の可能性

 

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かつては「夢はレム睡眠中にだけ起こる」と考えられていましたが、近年ではノンレム睡眠中にも夢に似た意識体験があることが分かってきました。

ノンレム睡眠中の夢は、レム睡眠の夢とは異なり、映像的な鮮やかさやストーリー性は弱く、思考に近い内省的な内容が中心とされています。
これは「断片的な記憶が浮かぶ」「言葉にならない考えごとをしていた気がする」といった印象で、より“考える夢”に近い体験です。

さらに、レム睡眠中には「明晰夢」や「金縛り」といった現象も報告されています。
これらは脳の一部が覚醒し、他の部分が睡眠状態にある“混合状態”で発生するとされます。

夢の多様性は、脳の複雑な活動の反映であり、今後の研究でさらにその仕組みが解明されていくことが期待されます。


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